とある璢瓩療傑童翼(Second Impact)






 
日本競馬史に光り輝く1ページが刻まれた。
2013年5月26日、東京競馬場で開催された第80回日本ダービー。
記憶にも記録にも残る歴史的名レースとなった。
そして、この日、この瞬間のために、勝つべくして勝つ人馬が優勝を飾った。

馬の名をキズナ。

人の名を武豊といった。


奇跡を紡いだ
     人と人との勝利

本来なら、このダービーの勝利者はエピファネイアと福永祐一だったのだろう。
しかし、キズナと武豊が超常的能力を全開させ、すべてを超越した。
最終コーナーを回って14番手。
絶望的位置取り、さらにはタマモベストプレイとマイネルホウオウに挟まれ、進路も狭まり、誰しもがキズナは来ないと思ったはずだ。
しかし、武豊が追うや、まるで父ディープインパクトのような空を舞うかのような走りで緑のターフを劈いた。一瞬のうち、玉響の刹那、わずか残り200mで勝負を決めた。究極に近いキレを発現させた。
そのキレ味、ナタでもなければカミソリでもない。
そして斬鉄剣のキレともまた違った。
オルフェーヴルのキレすら凌駕せんばかりの瞬間瞬転の烈脚。
「光の剣」のキレ味とでも言おうか…
33.5の脚で上がったキズナと武豊。


「僕は帰ってきました」


武豊という名の天才は一人苦しみもがいていた。
しかし、見捨てず支える者もいた。
8年前、世界の頂点を夢ではなく本気で狙える衝撃の英雄がターフへと、別れを告げたその日から、この勝利はきっと決まっていたのだろう。
空飛ぶ英雄が飛べず、貶められた凱旋門賞を勝つために…父の雪辱を果たすべく、選んだダービー制覇までの道のり。


【凱旋門賞、父ディープは1番のゼッケンをつけていた。キズナはダービーを馬番1番で凱旋門賞への道を切り開いた。これも運命的なものだったに違いない】

回り逢った「キズナ」という名のその馬と、武豊は、不思議な縁に手繰り寄せられ、歴史的ダービー戴冠を果たした。
そして世界へと、いま歩みを始める。
歴史的ダービー5勝。
これまで5度の中でも格別の1勝、騎手人生において大きな1勝であることは本人も語っている通り。
そして、誰もがこの瞬間を待ち侘びていた。
このレース、誰しもが感動したと口にする。
馬券は外れたが最高に感動したダービーだと断言する。
そう、ファンはこんな夢物語のようなドラマティックな競馬を望んでいるのである。



▲≪第80回 東京優駿(日本ダービー)≫
クリックするとあの感動がもう一度!!
武豊騎手がディープインパクトの子供で凱旋門賞へ挑戦する…
そんな夢物語を、きっと誰もがディープが歴史的敗戦を喫したあの日から、心の中思い描いていたに違いない。

時は過ぎ、辛酸を舐めさせられ、泥沼の中、孤立化している天才・武豊の姿があった。
弱り目に祟り目。
苦しみに喘ぐ中、手繰り寄せる1勝1勝の重み…
そんな中、落馬…騎手人生までもどす黒い谷の底まで転げ落ちていく…

復帰した天才が出会う一頭の青鹿毛。
父父の毛色を遺伝した、あの天馬の息子だった。
不思議な縁に引き寄せられ、再邂逅を果たした天才と英雄。

悪夢の落馬…地獄への入り口となった毎日杯で、初重賞を天才は英雄の息子へとプレゼント。

「ダービーを勝ったら凱旋門賞へ行こう!」

第80回 日本ダービー。

武豊が、己のすべてを賭し、ディープインパクトの息子と共に5度目のダービー制覇に挑み、見事戴冠を果たした。
まるで約束されていたかのように―。
そして今、彼らの視線のその先には、日本競馬の悲願が、ディープが見た夢のつづき…
「絆」の結晶を完成させる凱旋門賞が待っている。

見てみたい。
武豊がディープインパクトの子供と共に凱旋門賞を勝つシーンを―。
ロンシャンで最高に輝くユタカを――。
本当に本当の意味で、日本競馬が世界一になる瞬間を―――。


【ダービー制覇の際に起きていた不思議な現象
G1で1枠1番1番人気…あのサイレンススズカ以来のこととなりそうな武騎手の1枠1番。
これも運命なのだろうか…スズカもきっと後押ししてくれていたに違いない。

またノースヒルズ馬の1枠1番は奇跡を呼び寄せる枠番でもある。
ヘヴンリーロマンス…アーネストリー…ビートブラック…。
みなゼンノロブロイ、ブエナビスタ、オルフェーヴルと、撃破困難な強敵を跳ね除けての戴冠。また、佐々木昌三調教師も1枠1番とは縁起の良く、コスモサンビーム、タップダンスシチー、アーネストリー…と1枠1番の印象が大。佐々木師の管理馬がG1で1番枠に入った時の成績は【2ー1ー2ー3】。掲示板を外したのは1度だけ。
1枠1番は過去5年で3勝、2着1回の最強馬番。
しかも「今週の出馬投票の受付番号が111番。枠も1番を引く予感があったんだよね」と、師は1ぞろいにビックリ。

日曜東京の総出馬投票を元にすると111番を引く確率は264分の1。
これはキズナ優勝の予兆なのではないか…

またアグネスフライト、ウイニングチケットの来場もキズナの後押しに思える。
アグネスフライトは皐月賞は出走せず、重賞を連勝してダービー戴冠を果たした。
キズナも同じ道をたどるのか。
また、アグネスフライト優勝時、武騎手は2着
ウイニングチケット優勝時は武騎手3着と、残るは1着のみという暗喩的示唆にも思えてくる。
イベントだけではない。
当日のプレゼンターは西田敏行さん。
これもキズナにとって後押しだろう。
いや最大の応援となるかもしれない。
震災復興のキーワード「絆」。
キズナが勝ち、男泣きする西田さんの横に一番似合うのは武騎手だと思う。

「絆」。

この文字には“八十”と“一”の数字が見える。
第80回に1番の“絆”が優勝する…とでも言うのだろうか。

「80」というのはやはり鍵だと思う。

「80」歳となった三浦雄一郎さんがエベレスト登頂成功の偉業を達成したばかり。
キズナの母、キャットクイルも人間の年齢に換算すると約80歳。
80歳を迎えた母の偉業をキズナが奇跡の勝利で花束を添えた!

そしてキズナは出走馬中ただ一頭、過去のダービー馬との共通項を持っていたのだ。
武豊騎手が初めてダービーを勝った1998年から昨年までのダービー馬の新馬からダービーの前走までの期間に走った距離を単純に足してみた。
今年のキズナ11600m(ちなみに1+1+6=8)
過去のダービーで該当馬は2頭。
2004年キングカメハメハ2010年のエイシンフラッシュ

この2頭とキズナの共通点
1.デビュー距離が1800m
2.初勝利が京都競馬場。
3.乗り替わりの経験があり、複数の騎手の勝ち鞍がある。
4.前々走がG沓叡紊脳紊り3F34秒台で出走馬中1位だった。


こればかりではない。
偶然とは思えない予兆が起き始めている。
父ディープインパクトの新馬からダービー前走までの馬番合計32(4-4-10-14)
キズナ32(5-4-6-6-6-5)なのだ。

今年のダービーは言うまでもなくメモリアルレース。
ちなみに一桁が「0」の時、ある年を除きすべて二冠馬誕生の回となっている。

その年は1970年。
昭和48年…勝ち馬の名前はタケ(武?)ホープだった。
二冠を阻むのは武豊…ということか。



◆武騎手の4角位置取りに見る名馬の歴蹄
豊がデビュー以来、勝ったG1,G2、且つ芝2000メートル以上は81回。
その4コーナー番手毎の勝ち数分布は・・・


  先頭  11回
  2番手 16回
  3番手  7回
  4番手  7回
  5番手  7回
  6番手  6回
  7番手  7回
  8番手  5回
  9番手  4回
 10番手  2回
 11番手  0回
 12番手  6回
 13番手  1回
 14番手  2回→キズナ

二桁番手、つまり10番手以降から勝った馬は8頭(11回)だが、・・・

ディープインパクト 2回 クラシック三冠、JC、有馬、宝塚、春天
アドマイヤベガ   2回 ダービー
スペシャルウィーク 1回 ダービー、JC、天皇賞春秋
タニノギムレット  1回 ダービー
ダンスインザダーク 1回 ダービー二着、菊花賞
ナリタタイシン   1回 ダービー三着、皐月賞
ドリームジャーニー 1回 有馬記念、宝塚記念
キズナ       2回 日本ダービー

最終コーナーで10番手以下というのは、確実に差し切れるという絶対的自信の表れ。
しかも、キズナは14番手という絶望的な位置取りから2度も…
この馬がいかに他の名馬とも別格であるかを物語る何よりのデータだと思う。

佐々木調教師によれば現時点での完成度70%だという。
札幌記念、もしくはニエユ賞から本番のようだが、いずれにしろ凱旋門賞では120%まで完成されなければ勝てないだろう。

ちなみに…
武騎手はダービーで1番人気の馬に乗ると、連対率100%
1番人気6戦の内、4勝2着2回。

ダンスインザダーク(1人気2着)
スペシャルウィーク(1人気1着)
エアシャカール(1人気2着)
タニノギムレット(1人気1着)
ディープインパクト(1人気1着)
キズナ(1人気1着)


【キズナの勝算はいかに!?】
 
早くからキズナのダービー制覇を予言していた血統評論家、栗山求氏は次のように分析している。

不運な競馬で3走前の弥生賞(G2)を落としたことが、結果的にダービー制覇に結びつきました。出ようと思えば出られた皐月賞(G1)をパスし、裏街道の毎日杯(G3)、京都新聞杯(G2)を余力たっぷりに連勝。皐月賞はレコード決着のきつい戦いだったので、上位入線馬には多かれ少なかれその反動があったと思います。人間万事塞翁が馬、という言葉を脳裏をよぎりました。もちろん、不運を幸運に変えたのは、佐々木晶三調教師をはじめスタッフの力があってこそです。

武豊騎手の手綱さばきも見事でした。11年のジャパンC(G1)以降、当コースで行われた7つの重賞の連対馬14頭のうち、4コーナーで10番手以下の位置取りだった馬は1頭のみ、昨年のオークスを勝ったジェンティルドンナ(15番手)です。他馬との実力差があったからこそできた芸当でしょう。武豊騎手は過去4回のダービー制覇の経験から、ふだんのレーススタイルを崩して勝てるレースではない、ということを分かっていたと思います。じたばたするのは彼の美学ではなく、99%追い込みに徹するだろうとは思っていましたが、傲然と後方に構える姿をいざ目の当たりにすると軽い感動を覚えました。ダービーの大舞台で1番人気を背負ってあの位置に下げる勇気は、並の騎手は持ち合わせていません。キズナは4コーナー14番手。先行馬絶対有利の馬場ではなかったとはいえ、これまで培ってきたレーススタイルのまま東京芝2400mの常識を打ち破りました。

ディープインパクトは2年連続でダービー馬を送り出しました。いうまでもなくサンデーサイレンスの最高の後継種牡馬であり、サンデーの美点である中距離向きのスピードと瞬発力を最良の形で受け継いでいます。キズナの上がり3ハロンは出走メンバー中最速の33秒5。この脚こそディープインパクトの最大の持ち味です。「ディープインパクト×Storm Cat」の組み合わせで2400mの大レースを勝つには、底力あふれるヨーロッパ血統でサポートしたほうがいいでしょう。予想文に記したとおり、この役割を担っているのは3代母の Fiji です。「Acropolis×Mossborough」というウルトラ級のスタミナ血統で、Acropolis は世紀のステイヤー Alycidon の全弟です。キズナ自身は、この血を強調して Highlight≒Fiji 5×3としており、スピードの持続力が要求される東京芝2400mを苦にしませんでした。Highlight と Fiji はいずれも名牝 Aurora の息子を父に持ち(Borealis と Acropolis)、4分の3同血の Hyperion と All Moonshine を濃厚に含んでいます(Highlight は Hyperion 3×2、Fiji は Hyperion≒All Moonshine 3×3)。

この秋は凱旋門賞(G1・芝2400m)に挑戦すると発表されました。ロンシャン競馬場の芝2400mは、京都芝1800mを大きくしたような形状です。フォルスストレートから直線入口にかけて緩い下り坂になっているので、勝負どころの反応が鈍いキズナにとっては走りやすいコースではないかと思います。Storm Cat を持つディープインパクト産駒といえば昨年の仏1000ギニー馬 Beauty Parlour の名が挙がります。ロンシャンの芝は苦にしないでしょう。期待したいです。
(『栗山求ブログ』より引用)

私うみねこも全くの同見解。
もしかしたら、前人未踏の歴史的奇跡、凱旋門賞優勝を叶えてくれるのは、武さんとこのキズナなのかもしれません。

とある絆の天翔光翼(キズナ応援コラム) * 03:21 * comments(4) * - *

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