1998年 日本海S(1600万下)

  [1998年 日本海S]

勝ち馬:ダイワテキサス
距離:2,000m
コース:旧新潟競馬場

蒸し暑い夏だった。1998年の夏は例年にも増してジリジリと太陽が照りつけていたように感じてならなかった。
この夏、暴虎馮河の勢いで破竹の連勝を続けた馬がいた。ダイワテキサスである。条件戦をウロウロしているような馬だったが、98年の夏、ついに覚醒。リバーテムズ賞を皮切りに、安達太良Sも連勝。そして日本海Sへと駒を進めた。この日本海Sこそ、ダイワテキサスのベストレースであると共に、「夏の上がり馬」のシンボルともなるレースだと、私はそう推考している。
1998年7月18日、新潟メイン日本海S。まぶしばかりの日差しが競馬場をサンサンと照らしていた。蒸し暑いが、不思議とどこか爽やかな雰囲気がそこにはあった。大逃げする馬を楽々と射程圏にとらえ、後続を突き放してゆくダイワテキサス。楽勝だった。栗毛の馬体を輝かせ、躍動するダイワテキサスに、私は“未来”を感じ、これが真の「夏の上がり馬」なのだと確信した。
電光掲示板にはレコードの文字が点灯していた。
ダイワテキサスは競馬場へ届く微かな潮の匂いに輝きを加え、天空海閥とした日本海に勝利の咆こうを高らかに上げた。

ダイワテキサスはこの後も連勝を続けた。関屋記念をレコード勝ち。つづくオールカマーも圧勝。天皇賞ではサイレンススズカの対抗一番手と目されるまでになったが、脚部不安から放牧に出され、スズカとの対戦は叶わなかった。しかし、長きに渡り活躍し、名脇役として競馬ファンに愛された。

そんなダイワテキサスの飛躍した小さな伝説のレース。淡い記憶の残像となって残る、隠れた名レースである。

伝説のレース * 04:13 * - * - *

有馬記念(1990年)

[第35回 有馬記念]

開催地:中山競馬場
勝ち馬:オグリキャップ


稀代のスーパーアイドルホース・オグリキャップは、惨敗を繰り返し、以前の輝きを失っていた。
ファンからも陣営へ、悲痛な声が届く。

「オグリがかわいそう」
「もう引退させろ」

陣営のラストチョイス。それは有馬記念だった。
ファンに一番愛された馬だからこそ…の有馬記念出走だった。
この年の有馬記念は17万7779人という入場人員レコードなら、オグリキャップへ投じられた獲得票数も19万7682票というレコードづくし。
みんながオグリを愛し、みんながオグリを最後に一目見、「お疲れ様」と言いたいという想いが表れている最大の“証”がレコードに反映されている。


メジロライアン、ホワイトストーンといった若い世代の強豪が人気を集めていた。
オグリキャップは4番人気。「勝つわけないけど、最後だ。無事に、無事に、頑張れ!オグリ!!」

大半のファンはこんな気持ちだったのだろう。
しかし、奇跡が起きた。
最後の直線。なんとオグリキャップが先頭にたっているではないか。
「!!」
絶句した。誰もがその光景に。もうオグリキャップに大レースを勝つ活力など残されていないはずなのに…。
先頭オグリキャップ、外からメジロライアンが猛追をかけてくる。オグリは最後の勝負根性を振り絞り、ゴール板を駆け抜けた。

中山競馬場に奇跡が舞い降りた…。大歓声と拍手喝采で競馬場はおろか、日本中が震えていた…。

そして「オグリ・コール」。


「オ・グ・リ! オ・グ・リ!」

延々と児玉する歓声に胸打たれ、鞍上・武豊もいつの間にかオグリ・コールをしてしまっていたという。

老若男女を問わず、目頭を熱くする者、人目をはばからず泣きだす者、さまざまだった。


もう抑えられない。熱い涙が頬を伝う。

その雫には、地方時代の雄姿、タマモクロスとの死闘、絶望的な位置からバンブーメモリーを差し切ったマイルCS、世界レコードの激闘を連闘で見せたJC…オグリの愛らしい表情…それらすべてが凝縮し、映し出されていた。


怪物オグリキャップ。日本競馬史上最高のアイドルホースはやっぱり怪物だった。

伝説のレース * 22:33 * comments(0) * trackbacks(0) *

有馬記念(1977年)

[第22回 有馬記念]

開催地:中山競馬場
勝ち馬:テンポイント


日本競馬史上最高の名レース、と言われるのがこのレース。この競走で展開されたのは、いわゆるスポ根漫画で展開される“熱い”宿命の対決。これ以上のドラマティックなマッチレースを、私は日本競馬で見たことがない。


両雄並び立つ。天馬トウショウボーイ。貴公子テンポイント。二頭はクラシックで火花を散らし、力の限り叩き合った。一冠目皐月賞はトウショウボーイ。2着テンポイント。二冠目日本ダービー、1着クライムカイザー、2着トウショウボーイ、3着テンポイント。三冠目菊花賞。テンポイントははじめてトウショウボーイに先着。しかし勝ったのは緑の刺客グリーングラス。TTG時代の始まりだった。
その年の有馬記念、またもテンポイントはトウショウボーイに屈してしまう…。
年明けてテンポイントはパワーアップ。初のGI制覇も決め、秋の京都大賞典では63Kの斤量を背負いながら馬なりの8馬身差圧勝。能力の違いを見せ付ける。

しかし…テンポイントが、テンポイント陣営が本当に望んだのは、GI制覇でも何でもない。ライバル・トウショウボーイとの完全決着だった。
そのトウショウボーイは引退を表明。テンポイントは有馬記念へ。

トウショウボーイ陣営は有馬出走を決断した。
「テンポイントがでるなら出よう。決着をつけよう」

第22回有馬記念、いよいよスタート。これが本当に最後の対決。
「本当に強いのはどっちか決めよう、他の連中なんて関係ない」
両馬がそう言っているようだった。そしてレースもその言葉通りになるとは…。

逃げるのはスピリットスワップスと思われた…がなんと先頭を行くのはトウショウボーイとテンポイントの2頭だった。
2頭がグングン他馬を離して行く。逃げ馬が逃げられない異常事態。併走する2頭だが、直線のようなデッドヒートとなる。トウショウボーイが前へ出れば、テンポイントが後ろからプレッシャーを掛ける。
テンポイントは内、外、後ろとポジションを変えながらプレッシャーを与え続けた。自分の存在をライバルに与えるかのように。
4コーナー。2頭は並んで直線へ。内からトウショウボーイ、外からテンポイント。その後ろからはいつの間にかグリーングラスが忍び寄る。テンポイントがトウショウボーイを突き放す。勝負あったか…そう見えた瞬間、トウショウボーイはさらにもう一伸び。まさに渾身の一伸びだった。今にもテンポイントを抜き返さんばかりの勢い。

「これで終わりだっ!!」
テンポイントと鞍上・鹿戸の叫び声が心の奥底まで響き渡る。


テンポイント、1着。

燃え尽きた完全燃焼の一戦…ついに掴んだ真の頂点。しかしこの時、この直後に起きる日経新春杯の悲劇を誰も知るすべはなかった…。


日本競馬史上最高の名勝負、ぜひともビデオ、DVDで御覧ください。

伝説のレース * 21:26 * comments(0) * trackbacks(0) *

★『奇跡の名馬』100回記念★

皆様のおかげで、『奇跡の名馬』も100回を達成することができました!誠にありがとうございます。m(__)m
今回はこれを記念して、ドリームレースを考えてみました。まだ紹介していない馬たちも緊急召集。お暇な時に、妄想を膨らますと楽しいかも(笑)。


★☆彡Dream‐Turf★☆彡 夢・指定・オープン、定量

中山競馬場2500m、右回り

1-1 トキノミノル 55k

1-2 サイレンススズカ 57k

2-3 マルゼンスキー 55k

3-4 テンポイント 57k

3-5 シンザン 57k

4-6 オグリキャップ 57k

4-7 シンボリルドルフ 57k

5-8 ミスターシービー 57k

5-9 ハイセイコー 57k

6-10 エルコンドルパサー 57k

6-11 クリフジ 55k

6-12 エアグルーヴ 55k

7-13 テイエムオペラオー 57k

7-14 ナリタブライアン 57k

7-15 タケシバオー 57k

8-16 トウカイテイオー 57k

8-17 シンボリクリスエス 57k

8-18 アグネスタキオン 55k


★☆彡Dream-Dirt★☆彡
夢・指定・オープン、定量

東京競馬場ダ2100m 左回り

1-1 アブクマポーロ 57k

1-2 メイセイオペラ 57k

2-3 トウケイニセイ 57k

2-4 ロジータ 55k

3-5 セイユウ 57k

3-6 ヤシマナショナル 57k

4-7 マンノウォー 57k

4-8 セクレタリアト 57k

5-9 クロフネ 55k

5-10 アドマイヤドン 57k

6-11 ラフィアン 53k

6-12 ネイティヴダンサー 57k

7-13 ホクトベガ 55k

7-14 サイテイション 57k

8-15 ドバイミレニアム 57k

8-16 サンデーサイレンス 57k


そして究極(?)のドリームレース…


★☆彡Eternal Legend S★☆彡
究極夢・指定・オープン、定量

東京競馬場・芝2400m、左回り


1-1 エクリプス 57k

1-2 セントサイモン 57k

2-3 ノーザンダンサー 57k

2-4 英(はなぶさ) 57k

3-5 ディープインパクト 55k

3-6 バンザイ 57k

4-6 ミドリマキバオー 55k

4-7 グラディアテュール 57k

5-8 シーバード 57k

5-9 ミルリーフ 57k

6-10 リボー 57k

6-11 キンツェム 55k

6-12 カマレロ 57k

7-13 ダンシングブレーヴ 55k

7-14 ファーラップ 57k

7-15 ブリガディアジェラド 57k

8-16 ブケファロス 57k

8-17 サイゴウジョンコ 55k

8-18 ユニコーン 57k

以下、特別枠。

9-19 赤兎馬 57k

9-20 麒麟 57k

9-21 エフターフ(※) 57k



◆☆彡★エフターフ★☆彡◆

父 ケイバ
母 ユメ
母父 ターフアンドダート
生年:2005年
性別:?
毛色:白毛
国籍:日本


管理人のルカさん、本紙ワムさん、F-TURFスタッフ一同、そして閲覧してくださっている皆さんの競馬愛が具現化した馬(笑)。真っ白な馬体で、ピンク色の一本角と翼を有し、上がり3Fは20秒台を叩きだすという(笑)。

伝説のレース * 05:01 * comments(0) * trackbacks(0) *

1965年 英ダービー

【1965年 英ダービー】




開催地:イギリス・エプソム
勝ち馬:シーバード


フランスの生んだ世界競馬史上最強最高の「世紀の名馬」シーバード。彼が神の領域を踏み越えはじめたのがこのレースだ。

圧倒的一番人気に推されたシーバードは中団からやや前方でレースを進める。道中は大人しくしていたが、直線を迎えると一気に抜け出し、後続に追撃不可能なほど絶望的着差を突き付けてしまう。

残り1Fを残し、完全に勝負は決してしまう。鞍上も勝負あったと、シーバードをなだめ、走法はギャロップからキャンターへと移行。シーバードは馬なりはおろか、まったくのキャンターでエプソムの坂を駆け上がり、ダービー馬となってしまった。

愛2000ギニー馬ニクサーは全く相手にもならず、2着にはこの直後、愛ダービーとキングジョージを圧勝するメドウコートが死に物狂いで追込み2着入線。それでもゴール板前で歩き始めているシーバードには2馬身までしか近づくことができなかった。

このレース振りは高く評価され、シーバードはいまだに欧州全土で歴代ダービー馬No.1に選ばれる―。

この後、シーバードはサンクルー大賞をダービーとまったく同じレース振りで独走(しかも初の古馬相手)。
その直後に三ヶ月の間隔を取り、あの伝説の史上最高水準、1965年の凱旋門賞(うみねこ博物館・『伝説のレース』にて紹介済み)を迎えることになる・・・。

伝説のレース * 23:55 * comments(0) * trackbacks(0) *

1998年 10月14日 未勝利

開催地:中山競馬場
勝ち馬:リアルヴィジョン

「伝説の未勝利戦」。それがこのレースである。
リアルヴィジョンはデビューが遅れ、この10月14日のこのレースが初出走だった。距離1800mのダート戦だ。

初ものづくしに加え、自らの巨体をコントロールしきれず、出遅れてのスタート。2コーナー、3コーナーとポツンと一頭離れての追走。そして4コーナー…ふつうなら、4コーナー手前で進出するだろう。しかし、リアルヴィジョンはまだ離れた最後方。とどかない、絶対にとどくわけがない位置に構えている。
直線は激しい叩き合いとなる。そして、大外から一頭、猪突猛進の勢いでズンズンとやってくる馬が一頭いるではないか。なんと、リアルヴィジョンだった。リアルヴィジョン!?目を疑った…4角で離れた最後方にいた馬が、今先頭に立とうとしているのである。信じられない驚異の光景が目の前に広がった。
リアルヴィジョン、堂々の1着。

これまで驚天動地の追込み劇は幾度か目撃してはいるが、中でもこのリアルヴィジョンの追込みは特筆ものである。ビデオやDVDにも収録されているこのレース、ぜひとも御覧になって頂きたい。

伝説のレース * 21:42 * comments(0) * trackbacks(0) *

1998年 毎日王冠

[1998年 毎日王冠]

開催地:東京競馬場
勝ち馬:サイレンススズカ

1998年の毎日王冠はGIを超えるG2となっていた。武豊を鞍上に覚醒を遂げたサイレンススズカは無敵の5連勝。他を寄せ付けない希代の大逃げ馬は、もう一歩で社会現象とならんばかりのまばゆい輝きと話題性を放っていた。

この最強馬に挑むのが史上最強と呼ばれる黄金世代の最強2騎、エルコンドルパサーとグラスワンダーだった。
エルコンドルパサーはここまで5戦全勝、芝・ダート問わず無類の強さを発揮していた。
グラスワンダーは4戦全勝、2歳時(旧3歳時)は完全無欠、空恐ろしいまでの戦慄の強さを発揮し、“怪物”の称号を欲しいままにしていた。
エルコンドルパサーとグラスワンダー、どちらが強いのか?当時のファンもマスコミもこの話題で持ちきりだった。そこにサイレンススズカも交じっての夢の三強決戦が実現したわけだから、ファンにとっては正に夢見心地の時間であった。
レース前、馬券を離れての展開予想にここまでワクワクさせられるレースが過去あったろうか?私も競馬好きの友人とこの話でどれだけ盛り上がったことか。

「サイレンススズカが後続に10馬身差以上の大逃げをうつ。エルコンドルとグラス以外は追いかけない」

競馬の神様・大川慶次郎氏もこう予想していた。しかし、サイレンススズカは「ため逃げ」にうって出た。3?4馬身差離しての逃げだった。スズカにとってはそれくらいでも足を溜めている、と考えられるほどなのだ。グラスもエルコンドルも過去数戦と同じ位置取り。グラスは中団、エルコンドルは先行しての追走となる。
直線を向くと、スズカがいつものように独走を続けていた。エルコンドルパサーもグラスワンダーも必死に追うが、届く気配は全くない。サイレンススズカは最強の3歳2騎を相手に軽く気合いをつけただけでグングン加速度を上げ、楽勝してしまったのである。

スズカは2頭の挑戦を真っ向から受け、正攻法でそれに応えた。
三頭のその後は語るまでもなかろう…スズカは天へと翔けてゆき、エルコンドルはフランスへと飛び立ち、グラスはグランプリ三連覇の闘いへと乗り出してゆく…最強の三頭が一度だけ顔を合わせた、一期一会の伝説の一戦である。

伝説のレース * 13:31 * comments(0) * trackbacks(0) *

1997年 京成杯3歳S

[1997年 京成杯3歳S]

開催地:日本 東京競馬場
勝ち馬:グラスワンダー


今は「京王杯2歳S」と名を変えたこのレースは、東京の1400mを舞台に朝日杯へのプレップレースとなっているレースだ。

この年の当レースのパドックには、2頭の無敗の重賞勝ち馬が周回していた。
一頭は2戦2勝の新潟チャンピオン、クリールサイクロン。
もう一頭は同じく2戦2勝の小倉チャンピオンのタケイチケントウ。
無敗にもかかわらず、この2頭は全くの蚊帳の外だった。たった一頭の外国産馬のまばゆい黄金の輝きの前に、2頭は完全に霞んでいた。その一頭とは、前走アイビーSを5馬身差で楽勝してきたグラスワンダーという馬だった。

レースも人気に違わずグラスが圧制。直線ではターフの上を軽やかに、しかし某漠たる何かを破壊するように進撃する一頭の栗毛馬が舞っていた―。
無敗の重賞勝ち馬2頭はどこへ?

グラスワンダー。
1分21秒9。
馬なりの6馬身差。

直線での彼の伸び足は、未来のスーパースターの予感はもちろん、何か素晴らしいことが始まりそうな不思議なヴィジョンを我々に与えた。
怪物グラスワンダー伝説の序章である。

伝説のレース * 13:31 * comments(0) * trackbacks(0) *

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