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ランスロット    ―Lancelot―

 【 ランスロット

 〜 ロンギヌス

―“実在させられた
 
”リアル・ユニコーン

 
 
父 ?
母 ?
母父 ?

生年:1980年
性別:牡
毛色:白毛
国籍:アメリカ合衆国
生涯成績:〆

この天球に浮かぶ世界の鵬程万里にまで伝えられる神話上の生物である“ユニコーン”。日本語に起こすなら一角獣となるこの生物は伝説という泡沫に揺れる架空の存在と確定付けられていた。
しかし、突然変異の畸形体という括りではあるが、ユニコーンはこの世界に複数誕生しているのである。
それは牛であったり、鹿であったり、カモシカ…昆虫…果てはなんと人にまで角が生えた事例が報告され、文献にも残されている。

  
▲世にも珍しい“ユニコーンシャーク”。

さて、ユニコーンの誕生はいつになるのか。神話の一つではノアの箱舟に乗れなかったが為に絶滅した種であり、大洪水前の生物であるとも伝えられているが、真偽はいかなるものなのか。
処女にみ心開くのの純潔・貞潔の象徴であるこの生き物は、ギリシアはクニドス島出身の医師兼歴史家のクテシアスにより伝えられた。
ユニコーンの絵画は数多く残されているが、写真は無いに等しい。ユニコーンの写真というものも、どうにも信憑性に乏しく、CGで捏造されたものが99%だろう。



▲「ユニコーンの角」は“ウニコール”という呼称でヨーロッパへと伝来され、解毒剤や特効薬として重宝された他、宮廷では毒の検証にも使われていたという。
しかし、この「角」はユニコーンのものでなく、北海に棲まうイッカクの歯だった。


本題へと踏査を進めてゆこう…。
1906年のロンドン。動物園に2頭のユニコーンが飼養されていたとの文献がある。
しかし、この2頭は化けの皮ならぬ羊の皮被った一角獣で…要するにニセモノ。ただの羊だった訳なのだが、ネパールから輸入した羊だったようで、本物でもなければ畸形でもない。角を無理矢理埋め込まれただけの薄幸の迷える羊だったのである。
時が流れ、1936年の5月。メーヌ大学のドーヴ博士は天帝である全ての創造主を侵犯するかのような実験を行った。「角の芽を頭蓋骨に移植し、その動物の生命力をもってして角を成長させ、果てには一本の立派な角を生成させる」というもので、実際に博士が誕生させた牛が以下の写真の牛。

  

この神を恐れぬ行為からさらに時が経ち…1980年――。
米国はカリフォルニア州に一頭のユニコーンが降誕した。それがランスロットであった。
ランスロットを生産したのは二人の博物学者、グローリー・モーニング女史とその夫であるオットー・ジーゼル氏。この一角白獣の出現に、全米の懐疑論者たちは一斉に飛びつき科学調査のメスを入れようと躍起になった。どうみても山羊なのだが、その角は間違いなく本物であり、山羊には生えないような、ふんわりとした体毛と鬣(たてがみ)を持っているのだ。身体的特徴から言ってそれは、中世ヨーロッパの神話に登場してくるユニコーンそのまま。まるで絵画の中から颯爽と抜け出してきたかのような白い幻獣がそこに佇立しているのである。
「これは一体!?」

 
▲在りし日のランスロット

二人の博学者はあっさりと公言した。
「彼は私たちが作り上げたユニコーンなんです。角もたてがみも、尾も…彼の母はアンゴラ出身のヤギですしね」

全米が絶句し、震撼、そして怖気が走った瞬間だった。

    
▲ランスロットとオットー博士

角に関しては、1936年にドーヴ博士が行った錬角法をとったものと思われる。
つまりはランスロット自身が起こした奇跡とも言えるものの、それ以上に何か生物の歴史に瑕疵を残してしまったような感傷に引かれるのは、万人が感知するところではないか。
オットー氏たちはこう語る。
「彼は特別な存在なんです。ユニコーンは世界共通の象徴的存在。だからこそ、世界国際大使の大役にふさわしいし、究極の生命体と言えるユニコーンなら、絶滅危惧種のシンボルとしてこれ以上のものはない」

唖然・呆然となる観衆たちの胸中に去来する言葉にならぬ憤怒・憤慨の猛々しき想い。
オットー氏は、額から天空へとそそり立つ角を持つランスロットを、まるで道具のように丁々発止。
私には彼の角が酷く悲しいモノに思えてきてならなくなった。それは…そう、まるであの聖槍ロンギヌスのように思えてきたのである。
ロンギヌスの槍は、聖書の中登場し、イエス・キリストの血に触れた聖遺物として崇められ、「所有するものに世界を制する力を与える」と伝えられている。
ランスロットの一角。
角を生やしたヤギ。
寂寥感取り巻く人造ユニコーンが成した意味とは何だったのだろうか――。
哀しく映るランスロットの瞳が、その答えをそよと唄う風にのみ、そっと囁いていた――……。



 【ランスロット】

ランスロットは結局サーカスの目玉となることなく、封印されたまま一生を終えた。
彼がその生涯と体を全て捧げて成したものは一体何だったのだろうか。

一角獣(ユニコーン)
  まつわる主な展示物】
   

『奇跡の名馬』より
インプリウム


一角獣の角


『奇跡の名馬』より
「角の生えた競走馬」
セイクリッドホルン


一角獣の瞑譜録


聖なる一角獣“Unicorn” 〜角が生えた馬の話


一角獣(ユニコーン)にまつわる逸話集




〔彼らは実在するのだろうか…?一角獣は白毛であるため、強い芦毛馬や白馬はより一層幻想的に感じてしまう。そこに葦毛の強豪馬の人気の秘密があるような気がしてならない〕

ユニコーンのごとき
    伝説の白馬たち


史上最強アラブの白馬

遠き日の神話
    「伝説の白翼姫」


     
今回の写真元:Mr.Woolhouzen、Mr.Neelほか

奇跡の名馬 (アメリカ合衆国・カナダの名馬) * 03:05 * - * - *

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