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テオドリカ ―Theodorica―

  【

ぶっ飛びのおてんば娘

イタリア版・
  女サイレンススズカ



父 オーエンテューダー
母 トカミュラ
母父 ナヴァッロ

生年:1952年
性別:牝
毛色:栗毛
調教国:イタリア
生涯成績:9戦6勝
主な勝ち鞍:イタリア牝馬二冠[プリミオ・オークス・デ・イタリア、プレミオ・レジナ・エレナ(レジナエレナ賞。イタリア1000ギニー)]、グランプレミオイタリア(イタリア大賞)ほか

ウオッカ、ダイワスカーレット、ゼンヤッタ、ザルカヴァ、レイチェルアレクサンドラ、ラグズトゥリッチズ、そしてブエナビスタに史上最強スプリンターであるブラックキャビア…昨今、近代競馬における牝高牡低の風潮が世界に拡散し、牝馬の歴史的名馬にスポットライトが照射される機会が顕著に見受けられる。
そう、世界においては古世紀より世界各地に神威的競走能力を満天下に示した伝説的女傑・女王たちが闊歩していたことは、『奇跡の名馬』や当サイトの名馬コラムに目を通して下さっている方々にとっては、周知の事実であり、競馬史を研究する有識・博識者たちにとっても、それは常識的知識の一つに過ぎない訳である。現代を生きる我々は、過去を遡及していった時、とんでもない牝馬が、この世にはいたことを思い知らされる。

今回取り上げるのは、イタリアの怪女。イタリア競馬史において、歴史的競走成績を上げた名牝と言うと、古くは1910年のクラシックにてイタリア2000ギニー、日本で言う所の皐月賞であるパリオリ賞(芝1,600m)を制し、そのままオークス、セントレジャーイタリアーノ(芝2,900m)と変則三冠を達成したウィステリアが挙げられよう、
また、あのリボーやネアルコらを育てた爛疋襯瓮蹐遼盻兒姚瓩海函▲侫Д妊螢魁Ε謄轡氏の愛娘であるファウスタは2歳No.1となるや、翌年にはイタリアダービーとイタリアオークスを勝つ歴史的金字塔を打ち立てた名王妃。一方で1925年に生まれたエルバは、オークス馬となり史上唯一頭のジョッキークラブ大賞連覇馬となった。

  
▲[テシオ氏とファウスタ。14戦9勝。その最大の勲章は自身のダービー・オークスダブル以上に、世界競馬史上唯一の大記録「3頭のダービー馬を出産した偉大な名牝」に間違いない]

そして、史上最強と言うなれば、1929年のクラシックを丸飲みしてしまったジャコパデルソライオしかあるまい。なんとこの馬、2歳チャンプに輝き、そのまま翌年の1000ギニー・2000ギニー・オークス・ダービー、すべて勝ってしまったのである。信じ難い、驚愕の記録である。
こうした名妃たちの系譜に准えるかのように、1943年にレジナエレナ賞とセントレジャーの二冠馬に輝いたのがトカミュラ…つまりは本馬テオドリカの母である。

テオドリカが勝ったタイトルのみを見て、上述した名牝たちと比較するならば軍配は後者たちに上がろう。それは一目瞭然の判然たる事実である。がしかし、彼女が歴代の豪牝・鬼牝たちを遙かに凌駕しえる逸材と確信するのは、その派手なレースぶり、圧勝ぶりからなのである。
とにもかくにも欣喜雀躍とターフを飛び跳ね回り、制御不能とも思える程の大暴走的大逃げでファンをたったの1戦・1戦のみで魅了していってしまったのである。
真っ赤な禁断の果実を彷彿とさせるそのマーマレードの馬体がコーナーを周回する瞬間(とき)、夕揮に映え、煌めく馬体は金色に見えたと言う。


▲[止まらない、止められない…スマートファルコン、サイレンススズカ、ミホノブルボン、テスコガビー…彼らを連想させるような牝馬が第二次大戦直後のイタリアに存在していた]

稲妻のごときロケットスタートを切ると、そのお転婆娘は言うことも利かず、ただひたむきに、ただ遮二無二にゴールを目指した。

純粋無垢なる乙女心そのままのストレートフラッシュ。
はたして彼女はそのスピードの先に何を見ていたのだろうか―――…・・・。
古のローマを舞台に駆け続けた天衣無縫のぶっ飛び娘。
ここまで現世へとタイムリープさせたいと心躍らされる牝馬は、なかなかいない。


茹だるような夏の日の午後。


空を見上げ叶わぬ思いを描く――…



視界から遠ざかる白い帽子の快活な少女と、まっすぐに空へ伸びるヒマワリを見つめながら―――

     


奇跡の名馬 (仏国・独国・伊国・愛国の名馬) * 04:47 * comments(0) * - *

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