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カテリーナ ―Catherina―



しえなる旅路果てに〜

―171戦75勝。
   欧州競馬史上
    最多出走&最多勝、
      世界競馬史上
  最長走破距離の伝説的女帝―



父 ウィスカー
母 アレクト
母父 ヘットマン

生年:1830年
性別:牝
毛色:黒鹿毛
国籍:大英帝国
生涯成績:171戦75勝
主な勝ち鞍:クィーンズプレート、マンチェスターカップ、ヒルトンパークスキングズカップ、14マイル競走ほか

学生ラウンジから見える空は、どこか虚ろで遠かった。
何かそこにあるようで掴めない、虚無と希望とが同居している不可思議な空間がそこにはあった。

「ねぇ知ってる?昔の英国競馬って、すっごい長い距離走ってたんだって!」

つい先日知り合ったばかりのSが、僕の競馬好きを知ってか知らずか、唐突に話しかけてきた。
長い距離。
アスコットゴールドカップやカドラン賞など、4千メートル級の競走は現代競馬において稀少な存在である。
かつて3,000メートルあった東京大賞典や南米のビッグレースも、見る見るうちに距離短縮化の世界的激流に飲まれ、2,000mや2,400m級への変革が図られた。その潮流は今も変わらず…いやさらに加速を遂げ、もはや世界から長距離レースは天然記念物や世界遺産を見るような眼差しを注がれている。

史上最も長い距離を走り抜き、なおかつその大半を勝利でもぎ取った馬は果たしてどの馬なのか。
以下にその候補を列挙してみよう。


 驚異驚愕の
   競走歴持つ名馬たち


フィッシャーマン

121戦or13670

インプ

17162

コンダード

213152

コリスバール

324197

バンクラプト

34886


以上に挙げた偉大なる名馬たちも、天文学的距離を駆けた名馬たちである。
特に英国が誇るフィッシャーマン、米国のバンクラプトらは、生まれた時代がヒート競走や超長距離全盛の時代。
推定走破距離は30万メートルを超えるだろう。

それでは、あのハンガリーの国宝女傑、キンツェムの生涯走破距離はどれ程のものなのか。

54戦54勝、その走破距離総計は…

124,169m

翻って、カテリーナの走破距離を想定してみよう。
この時代、14マイルの競走や6,000mクラスのレースを使っていたこと。
低く見積もって1戦3,000メーターで計算した場合…

513,000m
さらに、多く見積もると…
ヒート競走で3,200×2本や14マイル走等も配慮し、
1走あたり6,000mと想定すると…
1,026,000m
…以上の距離を駆けていたと思われる。
この距離が以下に凄いか。
富士山が3,776m。
エベレストが8,848m。
マリアナ海溝最深部が10,911m。
人間のマラソン距離が42.195km=42,195m。
…要は、一つの小惑星の一周分の直径くらいの距離である。
ちなみに小惑星帯に位置する最大の天体「セレス」の直径は975km=975,000m…なのである!

超常絶する距離を走り続けた古の女帝。
しかし、その最後はあまりに惨い仕打ちが待っていた。

時は1858年。
日本では彼女の母国、英国との日英修好通商条約が結ばれ、ダービー伯爵における第二次内閣がスタートし、日本ではまだ徳川幕府が全国を統べる時代…日本で洋式競馬が始まる10年以上前、キンツェム降誕の20年近く前の話である。

母としての役目も終え、もはや廃用と見なされた彼女は、人知れず銃殺された。
誰に見取られることもなく、黄昏の中静かに絶命していった。

  

……・・・―――
その時と同じような夕焼けがキャンパスを覆い始めていた。
どこか虚ろで遠い夕映えは、虚無と希望とが同居している不可思議な空間として未来へ広がっている…
詩人のような事を口ずさみ、名馬の物語に一度、ピリオドを打とう――。

奇跡の名馬 (英国の名馬) * 04:18 * comments(0) * - *

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