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テューダーミンストレル

〜詩人は唄う――
    あなたのために〜



父 オーエンテューダー
母 サンソネット
母父 サンソヴァーノ

生年:1944年
性別:牡
毛色:黒鹿毛
国籍:イギリス
生涯成績:10戦8勝[8‐1‐0‐1]
フリーハンデ:144(ブリガディアジェラド、セクレタリアトと並ぶ史上2位)

ブリガディアジェラドと双璧を成す、史上最強の名マイラー。フリーハンデの数値が示す通り、競馬史上屈指のスピードでファンを魅了した。

ブリガディアジェラドと違う点は生粋のマイラーだったということだ。ブリガディアジェラドは2400のキングジョージも勝っているように、マイラーと言うより中距離中心の万能馬に近い。
それとは対照的に、テューダーミンストレルは1ヤードでも距離延長は厳しいというタイプだったのだ。活躍の場が限られてしまうとは言え、その爆発的スピードは常軌を逸していた。

父、母父ともにダービー馬であるため、テューダーミンストレルをマイラーと見なす者はいなかった。どうやらこの馬、3代母のレディジョセフィン(超快速血統)の血を色濃く引き継いだらしい。

テューダーミンストレルのデビューはバースで開催されたランズダウンS(芝1000m)。既勝馬を相手に楽々と5馬身差つけ、初勝利を飾った。
つづく2戦目はソールズベリーフォールS(芝1000m)。ここでもあっという間に馬身差を広げ、8馬身差の楽勝。
ロイヤルアスコット開催のコヴェントリーS(芝1000m)も爆発的スピードで突き抜け、馬なりの4馬身差の圧勝を果たした。
陣営は血統からも早くから英ダービーを意識しており、4戦目となるナショナルブリーダーズプロデュースS(芝1000m)を2歳の最終戦と決め、このレース後にテューダーミンストレルを休養に入れた。もちろん、同レースも楽勝だったことは言うまでもない。

冬の間に入念かつ熱心な調教を施されたテューダーミンストレルは、さらに逞しさを増していた。
休養明け初戦のサマーセットS(芝1400m)を、調教同然の楽なレース振りで快勝。いよいよ英2000ギニー(芝1600m)での出走となる。
テューダーミンストレルは好スタートを切り一気に加速。残り3Fで6馬身差をつけ先頭。ゴールした時には8馬身差もの大差がついてしまっていた(10馬身差という説もある)。しかもほとんど馬なりでこれなのだから、驚嘆するほかない。2歳時から「これほどスピードのある馬は見たことがない」と言われていたが、これほど簡単にクラシックを勝てる馬がいるものなのかと、当時のファンは騒然としたという。

テューダーミンストレルの主戦を務めたのは、G.リチャーズ。ナイトの称号を持つ伝説の騎手だ。しかし、リチャーズは英ダービーだけを勝つことができずにいた。しかし、この年は違った。周囲も調教師も、そして誰より彼自身が、その勝利を信じて疑わなかったハズだ。そう、テューダーミンストレルという最強馬がいたからだ。テューダーミンストレルをマイラーと考える者がいるわけもなく、1947年の英ダービーはテューダーミンストレル一色はもちろん、リチャーズと彼以外の勝利は許されない空気となってしまっていた。

エプソムの直線を突き進むテューダーミンストレル。リチャーズは抑えようとしたが、テューダーミンストレルはかかりにかかって止まってしまう。勝ったのはパールダイヴァー。フランスからの遠征馬だった。
エプソムは沈黙でつつまれ、今起きた事態を飲み込めずにただ不気味な静寂と時間だけが流れた。イギリスのファンのショックは計り知れなかった…。

この直後のセントジェイムスパレスS(芝1600m)で復活の大楽勝を上げ、中距離ならば…とエクリプスS(芝2000m)に挑戦するが、やはり距離保たずミゴリ(翌年の凱旋門賞馬)の2着と惜敗。折り合いをつけるため、馬の気に任せた大逃げに出たが、それでも距離の壁は分厚いものだった。

この後のテューダーミンストレルが出走したのはアスコット開催のナイツロイヤルS(芝1600m)。現在のクイーエリザベス2世Sである。
もの凄いスピードでスタートを決め、そのまま先頭で押し切ってしまうという圧巻の内容だった。テューダーミンストレルはこれで引退。当時は短距離・マイル路線が整備されておらず、活躍可能な舞台が限られてしまっていたためだ。

リチャーズは念願叶って悲願のダービー制覇を1953年に達成。
しかし、「生涯最強の馬はテューダーミンストレル」という考えだけは不変であった。

吟遊詩人は1マイルに清廉なメロディーを、長距離に悲しみのノクターンを残し、1971年、27年に渡る生涯に幕を降ろした。


  ★彡追記メモ★彡

☆馬名の意味は、「テューダー王家の吟遊詩人」という意味。

☆英2000ギニーでつけた8馬身という着差は、いまだ同レースの最大着差として記録に残っている。

奇跡の名馬 (英国の名馬) * 19:53 * comments(0) * trackbacks(0) *

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