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シンプリィーマジック  °.・°…―Simply magic―….・°。


シンプリィーマジック

ピンクスカイスノー
       のから〜

西インド諸島
   史上最強の女傑


 

父 ロイヤルミニスター
母 フォンテーヌブリュー
母父 フォンテーヌオブゴールド

生年:1999年
性別:牝
毛色:鹿毛
国籍:ジャマイカ
生涯成績:12戦9勝
主な勝ち鞍:ジャマイカクラシック&牝馬三冠{ジャマイカ1000ギニー、ジャマイカダービー、ジャマイカセントレジャー、ジャマイカオークス}ほか

中米カリブ海に浮かぶ島々は実に淅瀝たる美で彩られている。その代表とも言えるのがバハマのセントーサ島のピンクサンドビーチ。珊瑚と貝殻が砕け散って淡いさくら色に見えるビーチで、恋人たちの姿が絶えない。
そんなどこかノスタルジックな逢瀬のムードが漂う中でも、南国独特のハーモニーが奏でられているのがこの瀕海の眇たる島国の特徴 である。

   

そんな島国の一つがレゲエで有名なジャマイカである。西インド諸島の西部、キューバ島の南方約150km。カリブ海上のイギリス連邦の独立国である。
1494年にコロンブスがかの地の土を踏み、1509年にスペイン領となる。ジャマイカに馬が輸入されたのもちょうどこの1500年代の出来事だったのだが、競走馬として扱うには物足りなく、競馬の発展はカタツムリの競走のように、遅々として進まなかった。

   

1670年、アメリカ条約によりスペインはジャマイカをイギリスに譲渡。これを切っ掛けに英国は黒人奴隷を使いサトウキビ栽培をはじめ、現在でもサトウキビはジャマイカ農工の主軸となっている。それに沿って、国内生産の向上を図るため、馬の質の改善を目指した。しかし、国内産馬はどれもまた取るに足らないもので、結局は英国のサラブレッドを輸入することで解決した。それを受けてのことだろう、ジャマイカの競馬施行規定から国産馬の登録、競馬の運営法まで、何から何までが、本場イギリスにそっくりなのである。

バナナやココナッツ、コーヒーが栽培され、南国の花々が千紫万紅に咲き乱れるこの国にクラシック競走が整備されるやいなや、14頭もの三冠馬が誕生した。その中でもロイヤルダッド(紹介済み)は11戦全勝。無敗の三冠を成し遂げた名馬である。
しかし、2002年のジャマイカクラシック戦線に史上最強とも思われるスーパーホースが忽焉と降臨した。それがシンプリィーマジックである。


         
普通の馬の中にただ一頭だけ翼と角を持つ巨大な天馬が混じって走っている…と表現すればいいのだろうか。シンプリィーマジックは牝馬にも関わらず、万全磐石、無敵の競走能力で島民を魅了した。瞠若たる馬体としなやかな動き、そして見る者を魅惑する不思議なオーラと純粋無垢な瞳を持っていた。

                            

2000年のミレニアム・イヤー。まるでヘミングウェイの描いた『老人と海』のような世界が広がるジャマイカで、神話から抜け出し、天から舞い降りてきたような馬、シンプリィーマジックがゆっくりと胎動をはじめていた。
                                     

有史以来、我々は様々な名牝と邂逅を重ねてきた…キンツェム、ヴィラーゴ、ネレイデ、クリフジ、ダーリア、ラフィアン、トリニカロール(全馬紹介済み)…。シンプリィーマジックはこれらに続く名牝と言っていい。牡と牝のクラシック路線が明確に整備された近年、どの国を見ても牡馬に勇猛果敢に勝負を挑み、三冠を勝ち取った馬は皆無に等しい。それを考えると、シンプリィーマジックは敢然と牡馬と走り、大楽勝している。もちろん、ジャマイカには牝馬のみのクラシック路線も整備されている。それでいての成績なのだから、文句のつけようもない。そう、日本馬に例えるならクリフジがしっくりくる。どのような国にも、そうした亀毛兎角とも言える絶世の名牝が、一頭は生まれ落ちるようにできているのかもしれない。

 
〔ジャマイカのバーにて。Y子女史と現地の青年〕



シンプリィーマジックは、ジャマイカのサトウキビ畑の琴歌酒賦を楽しむかのように育った。気性的にも光風霽月(こうふうせいげつ)かつ豪放磊落(ごうほうらいらく)な性格だったようで、端的に表現するならば、大きな心と爽やかな気性をしていた、と言えるのかもしれない。

2002年、この年のジャマイカ競馬はシンプリィーマジック一色に染め上げられることになる。

デビューから傍若無人な競馬で勝ち続け、ジャマイカ1000ギニー(ダ、1,600m)に参戦。同性に敵がいるはずもなく、馬なりで大勝。この年の牝馬は能力水準が高く、評判にもなっていたが、その中でも特筆される評価を受けていたブラックサッチを14馬身差も千切ってしまうのだから開いた口が塞がらない。そのあまりの強さからか、競馬場に佇む彼女の後ろ姿からは、孤影梢然の雰囲気さえ漂っていた。
オークスではスタートから加速し続け、まるであのセクレタリアトのベルモント伝説を再現するかのように最終コーナーを馬なりのまま後続に8馬身差のリードで周回すると、直線では手綱を絞られたままブラックサッチに6馬身半差の大差勝ちでデビュー無敗の6連勝。
綺羅星の泡玉を大地の譜線へと散らす彼女のピンク・マーマーレードの手綱は静観なる夕焼けを、勝負服の藍色は果てのない宇宙(そら)を、そして勝負服の胸部を走り抜ける襷(たすき)とメンコの卵色は流星を連想連起させた。そして、その流れ星は、まるで涅槃雪のような、ほんわかとした温もりを見つめる者たちの記憶へと残し消え去り、人々へと佩服を誓わせるような不可思議な煌きを帯びていた――。

   
〔光の翼を閃かせるように伸びたJオークス(ダ2,000m)〕

      

シンプリィーマジックは運命で決められたかの如く、ジャマイカダービー(ダ、2,400m)の舞台へ姿を現した。レースはまったくのワンサイドゲーム。無人の荒野を行くが如く、シンプリィーマジックはダービーをも大楽勝してしまった。最後の一冠、ジャマイカセントレジャー(ダ、2,000m)も大圧勝。史上に残る、歴史的な牝馬によるジャマイカ三冠が達成された瞬間だった。


   
〔ダービーをキャンターで楽勝〕

                 
〔三冠達成直後のシンプリィーマジック。しかしこの後休養を挟み、ジャマイカ代表として出走したカリブ国際競走にて格下のトリニダード・トパゴの伏兵に一泡吹かされてしまう〕


  
〔引退後、牧草地で少女と戯れるシンプリィーマジック〕


これだけの名馬である。世界へ出ても間違いなく活躍できたはずだが…現在は立派な母となり、天熙の漣風の中、静かに牧草を食んでいる。

 
〔ジャマイカの大レースのほとんどを楽走で鯨飲〕


オレンジの夕日がカリブ海を少しずつ溶かして行く…砂浜に散りばめられた貝殻たちが淡い光を放ち、空へ上って行く…。
夕凪の空はいつの間にかピンクに映え、白い星たちがシャワーのように降り注いでいる。

きっとシンプリィーマジックは…あの向こう側から舞い降りてきた天馬なのだろう。

                                


海岸線を走るバスから見える水天一碧のピンクスカイと至極色の海…その彼方へと春風満面の頬笑みを浮かべた天使が翔んでいった―…。



              


彼女の名は『シンプリィーマジック』。


                                                    
                        
やわらかな風がそよそよと吹き、さざ波はただ白い砂浜を永遠と撫でていた。


ジャマイカの生んだ“伝説の天使”の話である。
 
            

 




“Simply magic is my best diamond horse!”



シンプリィーマジック
    魅了される理由


その1.牝馬であるにも関わらず、自国のクラシック三冠に敢然と挑み、楽勝していること。

その2.海浜国・小さな島国の名馬であること。

その3.ロマンティックなネーミング、血統、そしてその神話的強さ。

 



「一番人を元気にする
日常にありふれた
シンプリィーマジックって…




       
大切な人の笑顔なのかもしれないね――」




 シンプリィーマジック
 
 ピンクスカイスノー
から舞い降りたてきた
  “奇跡の名馬


“奇跡の天使”



シンプリィーマジック
彼女の大いなる未来に幸あれ…

奇跡の名馬 (中米・カリブ海の名馬) * 09:58 * - * - *

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