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マジカルゴールドダスト

 【Magical Gold Dust】

  
〜夢と未来と奇跡の卵〜

    

父 ピュアホワイトゴールド
母 イシューズコール
母父 イシュー

生年:2005年
性別:牡
毛色:白月毛&パロミノ
国籍:アメリカ合衆国
生涯成績:∽

2005年、日本で『英雄』と呼ばれる世紀の天馬・ディープインパクトが夢色の未来地図をファンと国民の眼前に広げ、星火燎原の勢いで三冠ロードを天翔ていた頃、遠い澄徹としたコバルトブルーの空の向こう側に広がる、アメリカ合衆国のとある牧場にも、ディープインパクトに優るとも劣らない奇跡の馬が誕生した。

いや、『奇跡色の天使』と評した方が明確であるのかもしれない。その愛くるしい表情と純粋可憐で円らな瞳…そしてその「奇跡の毛色」が、そう称したくなる所以である。
真っ白な純白の馬体に淡いピンクの鼻先、そして魔法のチョコレートを繊細な高級デザートへトロ〜リと頭からかけたかのように、耳と頭部はチョコ色の栃栗毛に覆われ、たてがみはパロミノ。そして首から肩にかけては薄い芦毛の連銭模様になっている。また腰からひばらにかけても綺麗なパロミノが顔を覗かせており、尾の上部は月毛に、下部は白毛なっているのである。サラブレッド…いや、馬の歴史上、ここまで稀少な毛色をもった馬は、この馬一頭だけといって間違いない。登録上は白毛となっているが、とても白毛で済ませられる毛色ではない。この馬は、明るく清らかな月夜のように優美で、春風に頬笑む美少女のような輝きを持ち合わせている。

 

それでは、サラブレッドという天満星(あまみつほし)の中に唯一無二の存在であるこの馬の降誕した経緯を、じっくりとたどってゆくことにしよう。
1966年のアメリカ合衆国に、パロミノのサラブレッドが生まれ落ちた。その馬の名をミルキーといった。ミルキーはその子孫たちへパロミノの毛色を伝えた。その毛色をもつイシューズコールとクィーンデボネアが配され、ビリオネアーという白毛馬が誕生。この突然変異の白馬が誕生した誘因となっているのは、ミルキーの3×2という極度の近親交配にあると推察される。


   ビリオネアー

時同じ頃、アメリカから遥か彼方、朦朧模糊とした水平線の果てに広がる珊瑚礁広がるグレートバリアリーフ…その上に浮かぶオーストラリアに白毛の牝馬が静誕した。両親ともに栗毛で、こちらも奇跡の突然変異馬だったようだ。彼女の名をアワホワイトレディといった。

   
   アワホワイトレディ

運命の巡り合わせとは不思議なもので、アワホワイトレディはアメリカへと海を渡りやってくるこてに。きっと2頭は邃古から…記憶も悠かなる宇宙のはじまりから、赤い糸で結ばれていたのだろう…ビリオネアーとアワホワイトレディは鴛鴦が契りを交わしたかのように互いに引き寄せられ、逢瀬へと辿り着いたのだ。そして2002年、ピュアホワイトゴールドという純真純白、雪のように真っ白な馬が呱呱の声を上げた。

  
   ピュアホワイトゴールド


このピュアホワイトゴールドの誕生は、古往今来、奇跡の中の奇跡と言える命の営みなのである。
ちょっと話はずれるが、毛色の詳細を説明したい。毛色は、各品種の馬が内在させている遺伝子によって決められる。遺伝子は染色体上に存在するが、馬は32対の染色体を有している(両親から半分ずつ受け継ぐという)。それぞれの染色体上の遺伝子の組み合わせで、毛色はもちろん、個体のさまざまな特質も決定される。いくつかの遺伝子は優性、すなわち劣性の遺伝子の働きを覆い隠す作用を持っている。芦毛は青毛、鹿毛、栗毛に対して優性であり、鹿毛は青毛に対して優性、栗毛は他のすべての毛色に対して劣性である。すなわち、鹿毛の遺伝子と栗毛の遺伝子の組み合わせの場合、鹿毛の遺伝子が優性のため、生まれた子馬は鹿毛となる。もしそういう遺伝子をもった馬同士を交配した場合は、劣性の栗毛の遺伝子を対(両親から一つずつ)で持つ子馬も生まれるが、その場合は栗毛になる。栗毛の馬は栗毛の遺伝子しか持たないので、栗毛の両親からは栗毛の子しか生まれない。
話を元に戻そう。つまり、上述したような遺伝の法則から、ビリオネアーとアワホワイトレディが白毛として誕生したのは奇跡としか言い様が無く、さらにその2頭からまた白毛が生まれたのも奇跡の中の奇跡としか表現できない(白毛の両親からまた白毛が生まれたという報告は、有史以来、世界中を見ても数件しか類例が見られない)。

そして2005年、ピュアホワイトゴールドとイシューズコールの間に生まれたのが、本馬マジカルゴールドダストである。その名の由来は独特の毛色から来ていることは言うまでもない。
これは私の推論に過ぎないが、マジカルゴールドダストの不思議な毛色は、超近親交配、イシューズコールの4×1がその主源となっているに違いない。そう、母自らがインブリードされているのである。生産者は何を望んでこの近親交配を行ったのかは明らかでないが、あまりにも危険な配合と論評せざるを得ない。とは言え、この星へ舞い降りた『奇跡色の天使』へ抱く夢と希望は大きい。


薄荷パイプをくわえる牧場長と晤語を楽しむブリッジット氏(マジカルゴールドダストの生産者)がトラックで向かうのは、ノーサイアーファーム。砂利の田舎道を行くタイヤからは、陽気な轣轆(れきろく)が聞こえてくる。まるで元気一杯に鼓行する子供のように。血の薀奥を極めたかのような血統を持つ、マジカルゴールドダストが母馬に頬を寄せ合い、牧草を食んでいる。琺瑯白色を放つ蛍貝とダイヤモンドが散りばめられた、琳琅の宝飾を持つ砂時計がゆっくりと時を刻む。

もうすぐ、マジカルゴールドダストは競馬場へとやってくる。どこまで成長し、どんな活躍を見せてくれるのだろう?期待と希望に胸もいっぱいになる。我々には蝸牛角上の争いに暮れる時間も、白河夜船と臥褥にふけっている暇もない。そう思えてくる存在が未来世界にいるのである。マジカルゴールドダストには、これから待ち受ける多事多難といった壁を登瘢し、世界の人々に夢を振り分けるような活躍をしてもらいたい。雲霞の下に跋扈する塵縁も、惨憺たる争い事も拭い去り、忘却の彼方へと吹き去るような快進撃を見せて頂きたい。例えそれが絵空事に終わろうと、マジカルゴールドダストは『夢』を人々へ与えられる馬に必ずなれる。そう私は確信している。


〔世にも不思議な毛色のマジカルゴールドダスト〕

私たちとマジカルゴールドダストとの邂逅は、いつの日かやってくる。
その日は遅くとも来年、冬ごもりの準備が始まる頃になるだろう。
その日が来るのを楽しみに待ちたい…。未来へ送る、夢と奇跡が一杯につめられた天使の卵…マジカルゴールドダストとの出逢いを。


空の果てから、天使のつまびく琴の音が微風に乗って舞い降り、その時を知らせてくれている―…。


  ★彡追記メモ★彡

☆マジカルゴールドダストは、2005年の7月16日生まれ。かなりの遅生まれである。

☆マジカルゴールドダストはイシューズコール、最後の産駒である。


奇跡の名馬 (アメリカ合衆国・カナダの名馬) * 08:07 * - * - *

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