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クシピアース

  【クシピアース】

   〜白鯨神話〜

―南太平洋に生きた
     巨白の泡影馬―



父 ニューポリシー
母 ヴェネッツェ
母父 ウィンディシティ

生年:1965年
性別:牡
毛色:芦毛
国籍:ツバル
生涯成績:28戦27勝[27-1-0-0]

『モビー・ディック』を執筆したメルビルは、ニューヨークの教養ある裕福な輸入商の三男に生まれた。恵まれた幸せの時間を閑かに送るものの、父の事業が失敗・破産したことにより、至福の太陽は沈み、闇が彼の視界を包み込んでいった。闇は光を蝕み増幅する――。
父の狂死。敬愛する父との永遠の別れ…それは突然としてやってきた。若干15歳にして父を失った彼は夜逃げし、銀行員や教職の資格取得など、遮二無二なり東奔西走するものの、現況は隔靴爬痒として変化を示さず、一層彼は窘急し、やがては困窮しきってしまう。
そんな折り、ひょんなことから幸運にも友人の紹介により1839年に船員となり、リヴァプール行きの船舶に乗り込む。そこで給仕に明け暮れる日々を送るメルビル。渺茫たる大海原…吹き渡る潮風の吟韻に少年の冒険心は強く駆り立てられた。処女航海ですっかり海に魅了されたメルビル青年は、1841年には捕鯨船へと乗り組み、南太平洋で海上生活を過ごすことになる。この時の貴重な体験をバックボーンに据え、『タイピー』(1846年)、『オムー』(1847年)といった“海洋”群像を描いた小説話を発表。その最高傑作となるのが、文頭で触れた『モビー・ディック』…“白鯨”である。


〔ハーマン・メルヴィル/モビー・ディックの初版〕

メルビル生涯の代表作『白鯨』は1851年に刊行された叙事詩的大作で、その内約は巨大な白鯨モビー・ディックに片足を奪われたエーハブ船長が復讐のため世界の海を巡り、ついに遭遇する宿敵とともに海底に沈む…というもの。淵淪たる神秘と象徴性の映し出す名作で、多方面に多大なる影響を与えているメルビルの遺作である。


                             

                           



  



1965年――……史上最強馬シーバードが巨翼を広げ、凱旋門から天空へと翔抜けたこの年、遥か遠方…南大平洋のツバルという島に、1頭の芦毛馬が忽焉と降誕した。馬を愛する夫婦が、格安で手に入れた子馬は宝愛され、すくすくと成長し、クジラのような巨貘の馬体を誇示するようになる。
その白い馬体から放たれる異様な威圧感は、モビー・ディックそのもの。それこそが彼、クシピアースである。

クシピアースはツバルを旅立ち、バヌアツ、ソロモン諸島と南太平洋エリアを転戦。
滑空する船のような独特なフットワークと、首を深く沈み込ませるカジキのようなモーションで連戦連勝。途方も無きポテンシャル。出走したレースレベルには、全戦疑問符が付く。しかし、それ補って余りあるパフォーマンスの連続だった。
手元にある、ニュージーランドの知人から送付してもらった貴重な資料によると、クシピアースの馬主やら血統の詳細は不明だが、その強さたるや圧倒的で大差、大差、また大差…草競馬ではとても収まりきれないその戦慄の強靭性、加速力、敏捷性から反応スピードまで、すべて一級の絶品。唯一の敗戦もスタート地点で転倒し、必死に立て直しを図ってからの狂瀾怒涛、壮絶な追い上げを見せての2着。次元が違う凜冽たる威光を放つ馬だったという。





きらめきの漣瀲。母なる大海の調べ…



                              



現在、泡沫の最強馬が琴歌酒譜をいとなんだ澎湃の島は、地球温暖化により、その姿を消そうとしている。沈み往く楽園…ツバル。
涼風のシーブリーズに乗って、人々の記憶から消沈していった巨大なる白鯨。
南太平洋の島民たちを喜笑顔開、胸踊らせた麟角鳳觜の名馬は、もはや微かに揺らめく白い残影でしかないのだろうか。

                   

薄幸の人生、悲涙の最期を迎えたメルビルのように…。
深海へと消えて往くモビー・ディックの殞涕に、語り継ぎたい名馬の胤想がキラりと輝いた――。


   

奇跡の名馬 (オセアニア・環太平洋エリアの名馬) * 22:46 * - * - *

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